いつもプロトタイプデザインの試作TVをご覧いただき、ありがとうございます。今回は、東京・新宿で僕が泊まったグランベルホテル新宿をレビューした動画を、記事にまとめてお届けします。
時間があまりなかったので軽めのレビューのつもりでしたが、実際に部屋に入ってみると、設計の意図が見えてくる場面がたくさんありました。デザインを仕事にしている人間の目線で、気づいたことをお話しします。
一番奥の突き当たりにある部屋で、入ってすぐは細く、奥へ進むと広がっていく形でした。建物の形に合わせて、余ったスペースをうまく使って作られた部屋という印象です。シティホテルなので特別に広いわけではありませんが、アートホテル、デザイナーズホテルとして打ち出している宿でした。
正面の壁にアートが飾られていますが、僕の見立てでは、おそらくAIで作られた絵だと感じました。ひと昔前の画像生成AIの雰囲気が出ていて、どうしても高級感は出にくいと思っています。壁をタイルにするかクロスにするか、というくらいの価格グレードの差が、こうした部分には出てきます。
デラックスツインのお部屋で、ヘッドボードの合皮が斜めに貼られているところに、デザインへのこだわりを感じました。サイドテーブルとゴミ箱がぴったり収まる特注家具もあり、部屋ごとに図面を描いていることがうかがえます。
同じ図面で部屋を量産するホテルも多い中、一部屋ずつ図面を起こすのはとても手間がかかります。その点には素直に感心しました。
薄いクロスは下地を拾いやすく、継ぎ目も浮きやすいので、施工業者さんが嫌がるタイプです。腕の問題にされがちですが、クロスの種類によるところも大きいので、仕方がない面もあると思っています。
この動画を撮ろうと思った一番の理由が、浴室とトイレです。扉を開けるといきなり浴室で、ベッド側から見えていたガラスが、そのまま浴室に隣接したガラスになっていました。入浴中は全く気づかなかったのですが、そういう作りになっています。
入口で一段下がっていて、水を流すのはシャワーカーテンで区切った範囲だけにするよう設計されています。お風呂のあとにトイレへ行くとき、足元が濡れないように段差をつけたのではないかと思います。こうした設計の意図が見えるところが面白いと感じました。
トイレ自体はとてもシンプルです。トイレットペーパーの予備をアクリルで覆っているのは、運営側の工夫が感じられました。
浴室が空間の真ん中に来ていて、ベッドのすぐ横にあります。場所が新宿ということもあり、カップルでの宿泊を想定した、少しムードのある遊び心のあるホテルにしたのかなと僕は考えています。
シャワーカーテンのレールが点検口にかかってしまうので、ビスを止められる範囲に制限があるといった、設計がクリアすべき現実的な条件も見えました。
普通のホテルも悪くないのですが、デザインをやっている人間としては、泊まるだけでも何か収穫がほしいと思ってしまいます。フォーマット化されたホテルでは得にくい、作り手側の意図が少しでも入っていると、そこに気づけて勉強になります。
今回のグランベルホテル新宿は、コンパクトでシンプル、そして作る側のコスパも良さそうな、設計の意図を読み取れるホテルでした。ぜひ動画もご覧ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。